死なない転職

死に場所を探さない

転活の休息

 今日はでろでろに泣いて泣いてそのまま溶けてしまいそうだったので、転職に関することをお休みした。休養日だ。こう書くととても簡単そうに思えるかもしれないが昼過ぎまでめちゃめちゃに泣き、夕方まで何もしない罪悪感に苛まれ、夜になってようやく、今日は休み! と自分に許可を出すことが出来た。だから何だって話なんですけど。はい。


 休養日だ、と言うことで本を読んだ。山崎ナオコーラさんの「偽姉妹」。

偽姉妹 (単行本)

偽姉妹 (単行本)

  風呂に入るのも一番最後だったから浴槽にのんびり浸かって足を伸ばして、時折浴槽のへりに座って、また浸かって、の繰り返し。気が付いたら最後まで読んでいた。読み口の良い文体だなと思う。ナオコーラさんの小説は。取っ付きやすくて、優しい。
 読んだ感想はただ一つ。いいなあと思った。私は一人っ子だから兄弟がいない。もちろん姉妹もいない。だから両親以外に血の繋がっている、年齢が比較的近い人たち、がいる友人をいつも羨ましく思っていた。いいなあ。そう言うと決まって一人っ子だから大切にされるでしょ、と言われるけれど、別に大切にして欲しくないのだ。大切にして欲しくないという言い方は傲慢かもしれないけれど、大切に大切に、箱の中に閉じ込められるような感覚は物心ついた頃から二十歳を過ぎた今でも続いていて、非常に息苦しい。というか、両親と自分だけが同じ空間に閉じ込められたらそれはそれは息苦しいよ。両方から責められたら感情の行き場がなくなるし。私は物に当たることしか出来なかったし。息苦しすぎて大学は入るまでずっと良い子でいたら自我の芽生えが遅くなったよ。自分を押し殺して、親にいい顔見せて自分のやりたいことより親が喜ぶような物を選んで。だから私が本当に何が好きなのか、分かるまで随分時間がかかった。いや、今でも曖昧かもしれない。

 閑話休題。偽姉妹、とっても良い生き方だと思う。とっても羨ましくなっちゃった。本当にこういう制度が出来たら良いのに。
 私にはすごく、すごくすごく好きな女の子がいる。本当に好きだからこうやって姉妹になってしまいたい。姉妹って言うか、双子になりたい。その子を姉、と思うと私はきっとすごく甘えちゃうし、じゃあ私が姉って言うとそんな頼りになるようなことが出来なさそうだから。姉とか妹とか決めずに、双子ってことで。同い年だし良いんじゃないかな。
 彼女が私のことをどう思っているのかあんまり分かんないんだけど、私は彼女のことが本当に好きで、何かあったら彼女に真っ先に話したいと思うし、もし彼女に何かあったら真っ先に話を聞きたいと思う。なんていうか、書き表せないんだけど、私は彼女の好きなところが沢山ある。すごく頭が良いところとか、集中力もすごいとか、努力家だとか、あまり有名でないけれどとても面白い漫画を沢山知っているところとか、私が彼女の家に行くと私が読みたいと思っていた本が沢山あるからつい喋るよりも本を読んでしまうのだけれど、彼女はそれを気にせずそのまま放っておいてくれるところとか、本当に沢山ある。書き切れないところもわざと書いてないことも沢山ある。えへへ、そういうのは私だけが知っていれば良いんだ。
 でも私が彼女を大好きでも、私が彼女を一番に支えることは出来ないのだろうなとも思っていて、彼女には彼氏がいるからきっとその人が支えるのだろうなと思うとなんだかムカつく。ポッと出の彼氏が彼女の何を、とも思うし、私より浅い年数でさっと彼女の一番大切な人という場所に座り込んでしまうのもムカつく。こちとら高校生の頃からだからもう八年くらいの付き合いになるのに、ポッっと出のお前が……と会ったこともない彼女の彼氏に怒りを感じている。私が彼女とで会えなかった十五年は諦めるから、これから残り六十年? ずっと彼女に付きまとってやるからな、と私は思っているけれどお前はどうなんだ。え? 暫定的に彼女の一番大事な人ポジションに座っている彼氏さんよぉ! ……って、何の話してたんだっけ。えーっと。
 とにかく今のままじゃ私は一友人としてほどよい距離感でしか彼女と付き合えないからそれならいっそ偽姉妹になってずっと姉妹として彼女の近くにいたいなあと思う。こういう関係を結んだところで、解消されないという保証もないし、彼女が結婚してどこかに行ってしまうかもしれないけれど、まあ、それはそれでいいのかもしれない。彼女と自分が姉妹であったという思い出は残るわけだし。というか今もし彼女が結婚したら親族よりも誰よりも泣く自信がある。そんな私が彼女の姉妹じゃないなんて、おかしなことじゃありません? ねえ、私たち、姉妹になりませんか。